摂食障害と関係?摂食に関わる体内・脳内物質① ~グレリンとレプチン~

トラウマケア
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はじめに

摂食行動は,血糖値を抑制するインスリン分泌の働きがよく知られていますが,脂肪から産生されるレプチンや胃から分泌されるグレリンなどのホルモン、近年ではBDNF(脳由来神経栄養因子)、セロトニンまでもが摂食調節因子に関わっていることがわかってきました。
これら、ホルモン分泌のコントロールは、自律神経系やストレスとも深い関わりがあり、ストレスを軽減し、自律神経系を安定することも重要ですが、有酸素運動、睡眠、生活リズムも関わってきます。
摂食障害とホルモン分泌との関係についてはあまり研究されたものはありませんが、摂食に関わるホルモンの特性を知っておくと、取り組み方の意味や理解の助けになるかと思います。
今回は「グレリン」、「レプチン」の働きと、摂食行動について取り上げていきます。

摂食に関わるボルモン
グレリン(摂食亢進)レプチン(摂食抑性)
インスリン(摂食亢進)
GLP-1(摂食抑性)
セロトニン(摂食抑性)
ヒスタミン(摂食抑性)
BDNF(摂食抑性)

グレリン、レプチンとは

近年食欲調整ホルモンとして注目されているのが「レプチン」「グレリン」です。
レプチンは、1994年に、グレリンは1999年に発見され、お互いが作用しながら摂食行動に関わっていることが明らかになってきました。

「グレリン」とは胃から分泌されるペプチドの食欲ホルモンのことで、脳下垂体に働いて成長ホルモン(GH)分泌を促し、また視床下部の室傍核に働いて食欲の亢進や脂肪蓄積などの生理作用として働きます。
グレリンは空腹になると分泌され、脳の視床下部にある空腹中枢を刺激することで空腹感を感じるようになります。
「レプチン」は、身体に蓄積している脂肪細胞から分泌されるホルモンで、グレリンと同じく視床下部の満腹中枢を刺激し食欲を抑制し食べ過ぎを防いでいます。
脂肪の蓄積を抑制し、エネルギー消費を亢進する作用もあることから「痩せ薬」と期待もされています。
(レプチンはギリシャ語で「痩せる」という意味がありますが、実際レプチンが増えれば痩せるという単純なものではありません)

簡単に摂食行動というのは、お腹が減った時は「グレリン」が空腹サインをだし、お腹が満腹になれば「レプチン」が分泌されて満腹サインを受け食欲行動を止めるといった流れになります。

摂食行動が正常なときは、グレリンとレプチンの分泌バランスが取れている状態です。
しかしグレリン、レプチンはストレスや自律神経の変化を受けやすく、季節の影響を強く受ける人もいます。
また、摂食中枢と自律神経中枢を兼ね持つのは「視床下部」です。
ストレス信号が集まる部分も視床下部で、視床下部にすべて集中していることを考えるとストレスと摂食行動、自律神経は密接な関係にあることが分かります。
トラウマによって自律神経の乱れが起こることで、グレリンとレプチンのアンバランスが生じ摂食障害が引き起こされるという見方も考えられます。(研究では調べられてませんが・・)

グレリンとレプチンの働き
グレリン :空腹を知らせ摂食亢進 胃から分泌されて血流に乗り視床下部へ伝達
レプチン:満腹を知らせ摂食抑性 脂肪細胞から分泌されて血流に乗り視床下部へ伝達

レプチンを増やせば痩せられる?

脂肪細胞からでているレプチンは食欲を抑制してくれる作用があるため、単純に考えると肥満体質の人のほうがレプチン量が多くなるため食欲抑制が効きそうな感じがします。
しかし、実際のところはそうはなりません・・。

それは肥満になると、レプチンを受け取る「受容体(レセプター)」が反応しにくくなり、感度が低下してしまうからだと考えられています。
これを「レプチン抵抗性」といいます。
このレプチン抵抗性がどのようにして起こるのかのメカニズムははっきりと解明されていません。
・摂食中枢で酵素のPTPRJが増加し、これがレプシンを阻害し反応を鈍くする。
・中性脂肪が増え、これがレセプタの搬送を鈍らせる。
等々。

ある程度、十分な睡眠をとり、痩せていくとレプチン抵抗性は改善されますが、すぐに改善されるものではなく時間がかかるようです。
摂食障害などのトラウマ起因のものは自律神経系の問題が大きいですが、肥満体質ともなるとこの「レプチン抵抗性」によってなかなか過食を抑えることができなくなる可能性も秘めています。

リバウンドはグレリンの増加が原因

ムリに食事を制限して短期ダイエットでせっかく体重が減っても、大多数の人は1年以内に元の体重に戻ってしまうそうです。
ダイエットを終えた途端に食欲が爆発し、あっという間に元の体重に戻ってしまう「リバウンド」が起こるためです。
リバウンドを引き起す原因は、空腹ホルモンのグレリンの増加が関わっています。

ダイエット後の過食は、グレリン値が大幅に上昇することで食欲が増してしまうのが原因で、研究によれば、6カ月のダイエットの後にはグレリンの数値が24%上昇し、ボディビルディングダイエットなどの厳しいダイエットならば40%近くも上昇するという報告もされています。
グレリン値が増加するほど食欲が増していく他、体内にエネルギーを蓄積しようと脂肪を身体に蓄えようとします。
さらに、カロリー制限などで新陳代謝も落ちてしまっているので、悪循環が重なりあっというまに体重が戻ってしまうのです。

グレリン抑制に利くものは

ダイエット後に襲いかかるグレリン増加の引き起す強い空腹感を乗り越えることができれば、そのうちレプチン抵抗性は改善し食欲を抑えるように働き、自然に食べ過ぎたりすることもなくなって精神的にも楽になるようです。
摂食を抑えるにはやせ薬として注目されているレプチンを増やしても、レプチン抵抗性があると効果が得られないため、グレリンを抑制し空腹を凌ぐほうが効果的であることがわかります。
グレリンの抑制に関わるものは果たして何なのでしょうか。

睡眠とグレリンとの関係

グレリンは睡眠時間が短くなると分泌量が増え、ストレスを感じやすくなって食欲を増進させます。
夜更かししてたら異常な食欲に襲われ、ついつい夜食を摂ってしまいたくなるのも、グレリンによるものです。

「スタンフォード大学の調査で睡眠時間5時間のグループと8時間のグループを比較したところ、睡眠時間5時間のグループでは食欲が増すホルモンのグレリンが14.9%増え、食欲を抑えるホルモンのレプチンが15.5%減ることがわかったのです」
参考:寝不足と食欲に深い関係が!? 睡眠不足が人を太らせる!

また、睡眠に関わるメラトニンはグレリンを抑制する作用があります。
夜暗くなると、視床下部の隣にある松果体を通して脳内セロトニンをすべてメラトニンに変換し眠気を促します。
眠気がくると食欲も失せてくるのもメラトニンの作用と考えられます。
メラトニンは明るい環境にいると分泌されないため、モバイルやパソコンなどのブルーライトが出るものはメラトニン分泌の妨げになるため、夜中はなるべく部屋を暗くするよう環境を整えるといいでしょう。
そのため、夜は早めに寝て睡眠を十分摂ることも必要です。(6~8時間程度)

グレリン抑性対策
・睡眠を十分にとる
・夜は暗い環境にしてメラトニン分泌を促す

グレリン抑性と関係する漢方薬

横浜市立大学の研究によれば、漢方薬の防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)がグレリンの血中濃度を低下させるという報告がされています。
ダイエット後の我慢の期間中に、食欲を抑えられない時に試してみてはいかがでしょうか?

防風通聖散についてはこちら

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