脂質②脂肪酸の種類(飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸)

栄養基礎

はじめに

今回は、脂肪の構造や特性を決める「脂肪酸」について詳しくみていきます。

脂肪酸の分類

多くの脂質は、グリセロールに脂肪酸が3本くっついたような構造をしています。
脂肪酸は、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)が数珠状に繋がった細長い分子構造を持っているのが特徴で、飽和脂肪酸不飽和脂肪酸に大別されます。
飽和脂肪酸が多いと固体状の動物性油、不飽和脂肪酸が多いと液体状の植物性油の傾向が強くなります。
飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸はさらに細かく分類され数多くの種類が存在します。

飽和脂肪酸  ~動物性油脂に多い脂肪酸~

飽和脂肪酸は肉類の脂身やバター、ラード、乳製品等の動物性脂肪やココナッツオイルに多く含まれています。飽和脂肪酸の過剰摂取は血液中の LDL(悪玉)コレステロールを増加させ、動脈硬化性疾患、特に心筋梗塞のリスクが高まると言われています。

炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の有機化合物が一直線になった細長い分子構造をしており、炭素(C)の数によって酢酸(2)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)といった種類が存在します。
つまり、C分子の数が多くなるほど、分子の長さが長くなり、その長さによって特性も変化してくるため炭素数の数で下記のように分類されます。

飽和脂肪酸の分類
短鎖脂肪酸・・C数が7以下
中鎖脂肪酸・・C数が8~12
長鎖脂肪酸・・C数が14~

短鎖脂肪酸は、炭素が4以下だと酸性の傾向が強く、5以上から油脂を帯びてきます。
最も食品に多く含まれるのがパルミチン酸、ステアリン酸で、中鎖脂肪酸はココナッツオイルに多く含まれる以外はあまり存在しないようです。
中性脂肪で太る原因となるのが、パルミチン酸やステアリン酸といった長鎖脂肪酸が原因です。
短、中鎖脂肪酸は体内に吸収されやすく体内に残らないことから、飽和脂肪酸とはいえ太りにくい特徴があります。
そのため、中鎖脂肪酸を抽出したMCLオイルは健康、ダイエット品として利用されています。

不飽和脂肪酸  ~植物性油脂に多い脂肪酸~

シス型

トランス型

不飽和脂肪酸が多いと、常温では液状になり植物性油の傾向が強くなります。
その分子構造は、飽和脂肪酸の細長い構造の途中の水素原子が抜けて2重結合をもっているのが特徴です。
2重結合した部分は、折れ曲がったような分子構造(シス型)になり、2重結合の数によって一価(ωー9系)、多価(ω-6系、ω-3系)と分類され、曲がり度合いも大きくなっていきます。
2重結合が一つのものを一価不飽和脂肪酸、それ以上のものを多価不飽和脂肪酸といいます。
また、酸素がない側の端からHが抜けた位置の炭素原子の数から、ω―9系、ωー6系、ωー3系と分類されます。(それぞれ、9番目、6番目、3番目のH原子が抜けている)
一価不飽和脂肪酸はω―9系、多価不飽和脂肪酸にはω―6系、ω―3系に分けられています。
また、構造がトランス型になったトランス脂肪酸も存在します。

一価不飽和脂肪酸 ω―9系脂肪酸 オレイン酸

ω―9系脂肪酸の代表としてオレイン酸があります。
オレイン酸は体内でも合成できる非必須脂肪酸で、オリーブ油などの植物油から摂取できます。血中の悪玉コレステロール濃度を下げる働きがあります。

ω9(n-9)系脂肪酸を多く含む油脂原料
オリーブオイル、べに花油(ハイオレックタイプ)、なたね油(ハイオレックタイプ)、落花生油など

多価不飽和脂肪酸 ω―6系脂肪酸 リノール酸、γーリノレン酸、アラキドン酸 必須脂肪酸

ω―6系脂肪酸の代表的脂肪酸はリノール酸があります。体内では合成できないため必須脂肪酸のひとつです。コーン油、大豆油などから摂れ、血中のコレステロールを下げる働きがあります。また、リノール酸はγーリノレン酸、アラキドン酸に変化します。
ほとんどがアラキドン酸になりますが、増えすぎると炎症を引き起す可能性が高まるともいわれています。ただし、確実な証拠がないため影響はないという意見もみられます。

ω6(n-6)系脂肪酸を多く含む油脂原料
コーン油、大豆油、綿実油、グレープシードオイルなど

多価不飽和脂肪酸 ω―3系脂肪酸 αーリノレン酸、EPA、DHA 必須脂肪酸

ω―3系脂肪酸の代表的脂肪酸はαーリノレン酸で体内でつくれない必須アミノ酸です。
αーリノレン酸は体内に入ってEPA,DHAになります。
EPA,DHAは青魚に多く含まれ、血液中の中性脂肪の減少や細胞膜の抗酸化作用、血栓生成防止、血圧降下、炎症抑制など様々な作用があります。しかし、熱や光、空気により非常に酸化しやすいという弱点があります。

ω3(n-3)系脂肪酸を多く含む油脂原料
えごま、亜麻仁、青魚(マグロ、カツオ、鯖)など

トランス脂肪酸・・・健康上好ましくない脂肪酸

トランス脂肪酸は、構造がトランス型となったもので、工業的につくられるものと動物由来のものがあります。
気を付けなければいけないのが工業的につくられるトランス脂肪酸で、冠動脈疾患、LDL(悪玉)コレステロール増加、HDL(善玉)コレステロールの減少を引き起すリスクが高まるとされています。
工業的に製造されるトランス脂肪酸は、マーガリン、クッキー、パンにさくさくとした触感をだすことに使われるショートニング、スナック菓子、インスタント食品、冷凍食品など身近な食品に多く含まれているので摂りすぎに注意が必要です。

トランス脂肪酸を多く含む食品
マーガリン、ショートニング、インスタント食品、スナック菓子など

まとめ

簡単にまとめると肉類、固形類の脂肪酸には直線状の脂肪酸が、植物油などには折れ曲がった形の脂肪酸が多いといったイメージですね。

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