はじめに
前記事 スローカロリー食事法
加齢とともに代謝が落ち、少し食べただけでもついてくる「脂肪」・・。
ストレスやうつ病などにかかっても運動量が減って脂肪がつき、ダイエットが必要になってくる人も多くなります。
とてもやっかいですね。
これまで、食事制限でダイエットについて説明してきましたが、食事制限だけでなく、運動で燃焼をさせていくことも大切です。
脂肪燃焼のメカニズムを知っておくと、ダイエットも効率的に進めていけるようになるでしょう。
今回は、「脂肪燃焼のメカニズム」についての内容になります。
脂肪とは
言葉の定義
健康診断やダイエットなどで良く出てくる用語に「脂肪」とつく名の単語が多くあります。
「中性脂肪」、「内臓脂肪」、「皮下脂肪」といった言葉は馴染み深い言葉だと思います。
まずは、これらの違いについて比較していきます。
・「中性脂肪」
エネルギー源であるぶどう糖が余った場合、インスリンによって肝臓で中性脂肪が合成されます。
中性脂肪は、皮下脂肪、内臓脂肪として蓄えられていきます。
・「体脂肪」
体内に蓄積される脂肪の総称。基本は中性脂肪からなっているもので、脂肪がつく場所によって「皮下脂肪」「内臓脂肪」とわけられます。
・「皮下脂肪」
皮膚下にある皮下組織という部分につく脂肪のことです。体内を守るための働きがあり、外界との温度差から身体を守ったり、ぶつかった時の衝撃を吸収したりします。
つきにくい反面、一度つくとなかなか取れない特徴があります。
また、女性につきやすい傾向があるようです。
・「内臓脂肪」
内臓の周囲につく脂肪で、皮下脂肪とは反対に溜まりやすく落ちやすい脂肪です。
こちらは男性につきやすい傾向があるようです。
お金と銀行で例えると
体脂肪=貯金
中性脂肪=お金
内臓脂肪=普通預金(貯めやすいが減りにくい)
皮下脂肪=定期預金(なかなか貯まらないが減りにくい)
といった感じになります。
白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞とは
体内にある「脂肪細胞」は「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」の2種類があり、それぞれ違う働きを担っています。
白色脂肪細胞
中性脂肪を蓄積
一般的に「脂肪」として認識されているものです。
消費されず過剰となったエネルギーを中性脂肪として蓄積する細胞です。
褐色脂肪細胞
中性脂肪を消費
白色脂肪細胞とは逆に脂肪を減らす作用がある細胞です。褐色なのは鉄を含んでいるミトコンドリアが多いためです。成人では、首回り、肩甲骨付近、腎臓の周り、胸部大動脈周辺に少量存在しています。
脂肪を「燃やす」とは
脂肪のほとんどは、過剰となったエネルギーが形を変えて白色脂肪細胞に蓄えられた固形燃料のようなものです。
脂肪を減らすとは、この白色脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪を燃やしていくことになります。
運動してエネルギーが必要になると、交感神経の活動が活発になります。
すると、脂肪を分解する酵素リパーゼが活性化されて中性脂肪が「遊離脂肪酸」と「グリセロール」に分解されます。
遊離脂肪酸が、血液に乗り筋肉細胞内のミトコンドリアの中で「βー酸化」という代謝経路で酸素と結ぶつくことでエネルギーに変換されます。
ただし、遊離脂肪酸は細胞内に入るとそのままミトコンドリアに到達することはできません。
遊離脂肪酸をミトコンドリアに運ぶには「L-カルニチン」という物質が必要です。
運搬役のカルニチンが不足しているとミトコンドリアの中に脂肪酸が到達できないため、効率よく脂肪を燃焼するためにはカルニチンが不足しないようする必要があります。
では、カルニチンを増やせば効率が高まるのかというとそれだけでは不十分です。
カルニチンが運搬車であれば、ミトコンドリアが焼却炉のようなもので、運搬車が増えただけで、それに追いつくように焼却炉の燃焼効率も高めていく必要があります。
つまり、細胞内の代謝を高める必要で、ミトコンドリア内で起こるう、クエン酸回路(TCA回路)も活発にしていく必要があり、そのためには補酵素として「ビタミンB群」、「ミネラル群」も不可欠な栄養素です。
さらに、ミトコンドリア内でさらにエネルギー産生を促す「コエンザイムQ10」、「αリポ酸」も合わせると、さらに代謝活動が高まるため、燃焼効率もUPします。
以上より「脂肪を燃やす」とは、遊離脂肪酸を筋肉細胞のミトコンドリアまで到達させるまでのプロセスということになります。
・中性脂肪燃焼プロセス
運動⇒リパーゼ活性化し
中性脂肪⇒遊離脂肪酸+グリセロールに分解
遊離脂肪酸が筋肉細胞内のミトコンドリアまでL-カルニチンによって運搬され燃焼
・燃焼に効果的な栄養素
ビタミンB群、ミネラル
L-カルニチン
コエンザイムQ10、αリポ酸
図参照:日経Goody
その他の脂肪燃焼を高める要素
脂肪燃焼を高めるには、代謝効率を高める栄養素も必要ですが、それ以外には下記のものがあります。
筋肉を増やす
脂肪の燃焼は、筋肉細胞内のミトコンドリアで行われます。
そのため、筋トレなどで筋肉を増やすことで、燃焼工場を増やし燃焼効率を高めていくことができます。
糖質を控える
炭水化物(糖質)は脂肪酸を増やします。燃焼させる脂肪酸の量よりも糖質によってつくられた中性脂肪の量が多いほど、運動の効果がなくなります。ダイエットのときは炭水化物(糖質)を制限していくことが必要です。
燃焼効率を高める食べ物
ラム肉
牛肉や羊肉、鹿肉には、L-カルチニンが豊富に含まれています。
特にラム肉には、多く含まれ、筋肉をつくるのに大切なタンパク質、不飽和脂肪酸、ビタミンB1,B2,Eといった脂肪燃焼にかかせない栄養素が豊富に含まれており、ダイエットに適した食品として知られています。
スパイス
トウガラシ、生姜などラム肉に相性のあうスパイスにも脂肪燃焼効果を高めてくれる栄養素が含まれています。
トウガラシの辛み成分カプサイシンは、交感神経を高め、脂肪を分解するリパーゼを活性化させます。
生姜にはジンゲロール、ショウガオールといった成分も脂肪を分解します。セリ科の1年草クミンには、ビタミンB群やナイアシンなどの代謝を促す成分が多く、植物ステロールがコレステロールの吸収を抑えてくれます。
サプリメント
サプリメントは、代謝回路を高める「ビタミン、ミネラル類」をベースに、L-カルニチン、コエンザイムQ10 、αリポ酸を含むものを利用するといいでしょう。
他にも、BCAA,カプサイシン、ショウガオール等々含まれているものもあります。
脂肪を燃焼させる効果的な運動
運動の種類 無酸素運動(筋トレ)⇒有酸素運動(ウォーキングなど)
脂肪を燃焼させるには運動が必要です。
運動にも無酸素運動と有酸素運動があります。
筋トレのような無酸素運動は、筋肉に貯められているグリコーゲンをエネルギー源とし酸素は利用せず、脂肪を燃焼することもありません。
筋肉のグリコーゲンが不足してから、脂肪が分解されてエネルギーに変換されます。
一方、ウォーキング、ジョギングといった有酸素運動では、酸素をとりいれるため脂肪燃焼に向いています。
ダイエットでは、両方を取り入れる方が良いとされています。
筋肉を鍛える無酸素運動を行うと代謝があがり、脂肪を分解する成長ホルモンが分泌されるため、有酸素運動の前に行うとより効率的に脂肪を燃焼できます。
ダイエットに向いた運動
無酸素運動+有酸素運動
・無酸素運動:脂肪を分解する成長ホルモン分泌
・有酸素運動:酸素をとりいれ燃焼
有酸素運動強度と時間
運動は楽な運動だと必要とする酸素の量が少なくなってしまうため、燃焼する脂肪量が減少してきます。
あまり激しい運動よりも、軽く汗をかくややきつめ程度が目安です。
有酸素運動をする場合、エネルギーの燃焼は最初に炭水化物(糖質)が完全に消費してから脂肪が消費されていくといった考え方でした。
実際は糖質と脂肪が同時に起こっており、糖質を上回るまでに20分以上かかるというのが正しいようです。
20分の運動は、一度で行わなくても、数分にわけて行っても効果に差はないという報告もでているようです。
そのため、最低20分以上、1日30~60分を目安に数か月間継続していくことが必要になります。
個人にとって、より多くのエネルギーを消費できる運動であればどのような方法でも効果はあるといわれていますが、目安として動脈硬化性疾患診療ガイドラインでは、次のような運動方法が薦められていま
有酸素運動をするのに適した時間帯
1日で脂肪燃焼が促されるのは、午後から夕方にかけてです。
夕方になるほど脂肪分解のホルモン分泌が増えるためです。
この時間帯に有酸素運動を行うと燃焼効率が高まります。
夜は、有酸素運動は眠りを妨げ、代謝を下げるなどデメリットが多いので、軽いストレッチをするほうが効果的です。
空腹時は、血糖値が下がっているため糖質もすぐ消費されやすくなります。
しかし、極端な空腹時は体調不良が起こりやすくなるため避けた方が無難です。
運動項目 | 時間 | 強度 |
ウォーキング、ジョギング、 水泳、自転車など |
・1日30~60分間 ・数か月間継続 ・運動後はしばらく食事はとらない ・適した時間帯 夕方は有酸素運動 夜はストレッチ |
「ややきつい」と感じる程度 心拍数が安静時の1.5倍程度(100-120拍/分)の運動強度 |
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