はじめに
神経系統が過敏なHSP(ハイリーセンシティブパーソン)や、トラウマを強く背負った方は、何か嫌なことがあると、お腹の調子が悪くなったりする経験が多いのではないでしょうか?
これも、腸は複雑な神経が多数絡み合っており、精神面(神経)が過敏であると腸の働きにも影響しやすいからです。
幼少期にストレス環境に置かれた方に共通して多くみられるのが、お腹を壊しやすく、下痢気味あるいは便秘気味な方が多いことです。
そのため、うつ病など精神疾患の方にはIBS(過敏性腸症候群)も併発していることが多々みられるようです。
腸の働きが高まると、栄養素も吸収されやすくなり脳内の神経栄養素BDNFも増え、結果脳細胞が増えることで脳の働きも高まってくるようになります。
腸の働きを高めることは、脳の働きを高めるだけでなく、腸内環境が整うことで便通も正常化されてダイエット効果が高まったり、ウィルス耐性もついて病気にもなりにくくなるなど様々な恩恵を受けます。
腸内環境を整えたい方は、まずは腸内菌(腸内フローラ)のことについて知っておくといいでしょう。
腸内フローラとは
腸には大腸と小腸がありますが、それぞれ全く異なった働きをします。
小腸は食べたものの栄養素を消化吸収しますが、大腸では吸収し終わった残りカスから大便を形成します。
腸内には人体のうち約9割の細菌が棲みついており、その数は1,000種類1,000兆個とも言われています。
人体の細胞は約60兆個とも言われてることと比較すると、いかに腸内に細菌が多く存在しているかが理解できるかと思います。
ウィルスなどの細菌は免疫システムによって排除されますが、免疫寛容システムで排除されない細菌が腸内に住みつきこれを「腸内細菌」といいます。
腸内細菌は、菌種ごとに腸の壁に隙間なくびっしりと張り付いており、それを顕微鏡でみるとあたかもお花畑(フローラ)のようにみえることから「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。
「腸内フローラ」は健康に関わる、3つの役割を担っています。
腸内フローラの役割
・食べ物を栄養物質に変換。
・免疫を高め病原菌から守る。(腸のバリア機能向上)
・「腸内フローラのバランス」を保ち、健康を維持する
腸内細菌の分類
腸内フローラを形成している菌は、「善玉菌」、「悪玉菌」、「日和見菌」の3つのグループに分けられています。
善玉菌は身体の働きを守るもので、悪玉菌は増えすぎると身体に悪影響を及ぼす菌です。
日和見菌は、状況によって優勢な方に味方をします。
分類 | 種類と働き | 理想的な割合 |
善玉菌 | 善玉菌の代表は良く耳にする乳酸を生成する乳酸菌とビフィズス菌です。乳酸菌にはフェーカリス菌やアシドフィルス菌など様々な種類があり悪玉菌増殖を防いだり、腸の働きを高めお腹の調子を整えます。 | 20% |
悪玉菌 | ウェルシュ菌などが、腸内で有害物質をつくり出します。悪玉菌が増えると、便秘や下痢などお腹の調子が悪くなることもあります。 | 10% |
日和見菌 | 腸内の善玉菌・悪玉菌の、優勢な方に味方します。 | 70% |
「腸活」=腸内フローラのバランスを維持すること
善玉菌は腸の中で発酵活動を行い、悪玉菌は反対に腐敗活動を行います。
善玉菌は、糖分や食物繊維を食べて発酵させ、乳酸や酢酸、酪酸などの酸性をもつ短鎖飽和脂肪酸などを作り出し、腸内を弱酸性に保ちます。
悪玉菌はアルカリ性の環境を好むため、腸内が酸性に維持されていると悪玉菌は死んでしまうことになるので毒性物質がつくられないことになります。
悪玉菌は悪いイメージがありますが、肉類などのタンパク質を分解し便として処理する重要な働きもあるので体内になくてはならない存在です。
しかし、悪玉菌が増えすぎると悪玉菌がつくりだす有害物質も増え、便秘や下痢、肌荒れやアレルギーなどを引き起こすことがあります。
以上より善玉菌、悪玉菌、日和見菌のある程度の比率が維持されていることが大切ということになり、
善玉菌:日和見菌:悪玉菌=2:7:1
といった比率で存在することが理想のバランスといわれています。
年齢とともに善玉菌の数が減少してこのバランスが崩れてくるため、中高年から食事のバランスに気をつけていく必要が高まってきます。
最近よく聞く「腸活」は、善玉菌を増やしてこの比率を維持し腸内フローラを整える活動のことになります。
腸内フローラのバランスが崩れる要因
腸内フローラのバランスが崩れる要因はいくつかあります。
その要因は、年齢以外にも食生活、ストレス、抗生物質、向精神薬といった薬の服用などがあげられます。
加齢
青年期はビフィズス菌などの善玉菌が多めですが、老年期に入ってくるとビフィズス菌が減少し、ウェルシュ菌などの悪玉菌が急激に増加する傾向にあります。
そのため、高齢になるとお腹を壊しやすくなり、免疫耐性も低下し病気にかかりやすくなります。
人によってはビフィズス菌が1%しかないというケースもあり、個人差は生活習慣病とも関係していると考えられています。
食生活
脂質や動物性たんぱく質は悪玉菌が好む栄養素です。
そのため、肉食が多くなってくると健康な「腸内フローラ」を保ちにくくなります。
ストレス
腸には消化管機能を調整する複雑な神経系があるため、腸と神経は密接な関係にあります。
そのため、精神的なストレスによって腸内環境が乱れ、下痢や便秘といった症状を起こしやすくなります。
特に、慢性的な下痢や便秘のうち過敏性腸症候群(IBS)はストレスが大きく関係しています。
抗生物質、抗うつ薬などの薬
抗生物質は、病原菌だけでなく、他の害のない菌まで排除することがあるため、腸内の善玉菌が減って腸内環境が乱れることにもなります。
統合失調症・うつ病などで精神科の治療を受けると「便秘に困っている」という方は、精神科の薬の中に腸の蠕動運動を鈍くさせるものがあるためです。便秘の改善のために下剤を飲んでいる方は、長い間下剤を使うことで排便の反射機能が低下し余計に便秘が悪化する場合もあります。
腸内フローラを整える方法
腸内フローラを整えるには、次のような方法が挙げられます。
1.自律神経を整える
2.動物性蛋白質に偏った食事を控える
3.善玉菌を増やす
1.自律神経を整える
自律神経は、活動しているときに活発な「交感神経」とリラックスを司る「副交感神経」があり、身体のリズムを保ってくれています。
腸の働きをコントロールしているのも自律神経で、腸の弛緩、収縮が行われるのも交感神経と副交感神経の働きによるものです。
そのため、自律神経が乱れることで腸の働きも乱れ便秘や下痢になってしまいます。
Holistic Healingや瞑想などを通して自律神経を整えていくと腸の働きも改善されていきます。
2.動物性たんぱく質に偏った食生活を控える
肉類や魚介類、卵、乳製品などに含まれている動物性たんぱく質や脂質の多い食事に偏ってしまうと、悪玉菌が増える原因になります。
しかし、動物性蛋白質も重要な栄養素なので完全になくすこともできません。
野菜など植物性の食品もバランスよく摂りいれるなど食生活を見直していきましょう。
3.善玉菌を増やす(シンバイオティクス)
腸内の働きを高めたい場合は、善玉菌を増やすことに尽きます。
善玉菌を増やすには、善玉菌(プロバイオティクス)とその餌となるオリゴ糖や食物繊維など(プレバイオティクス)を組み合わせて摂る「シンバイオティクス」が効果的です。
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