睡眠障害の解消② ~体内時計機構を正しく動かす~

トラウマケア
Sleep time. Sweet dreams. Good health and work of biological rhythms. Tiny woman sleeps in mask on a huge pillow. Modern flat cartoon style. Vector illustration

はじめに

睡眠活動は「体内時計」と「ホメオスタシス」の2つの活動で行われています。
今回は睡眠リズムに関わる体内時計について詳しくみていきます。

前回の続き

体内時計は2種類 ~親時計と子時計~

1日のリズムを刻む体内時計は、親時計といくつかの子時計が存在します。
前回紹介した親時計は脳の視床下部にある「視交叉上核(しこうさじょうかく)」と呼ばれる部位です。
子時計は体内にある臓器や末梢組織の各所にあり、それぞれ動いている状態にあります。

親時計の働き ~視交叉上核~

親時計の視交叉上核は、目に入ってきた「」を感知することで昼夜の活動に適した状態を整えます。
睡眠中、脳内のセロトニンは松果体で睡眠に導くメラトニンに変換されることを前回述べましたが、さらに体温、血糖値、血圧も下がり、副交感神経が優位に働きます。
起きるときは、この状態とは逆の状態にさせる必要があります。
まず、朝になって光を感知し目を覚ます少し前に、視床下部の下にある脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモンの分泌を促し、ホルモンによって刺激を受けた副腎皮質はコルチコステロン(別名朝ホルモン)というホルモンを分泌し血糖値を上昇させます。
また、視交叉上核は交感神経を高めて血圧をあげ身体活動を高めていきます。
以上から、体内時計をリセットするには「光」で行うことが必要と考えられています。

  朝の状態 夜の状態
神経伝達物質 セロトニン メラトニン
神経系 交感神経 副交感神経
血糖値 高い 低い
血圧 高い 低い

子時計の働き ~各種臓器~

子時計は体内の各臓器に存在し、その役割に応じた時間管理を行っています。
分かりやすい一つの例として、腎臓は尿を生成しますが、昼間はよくトイレにいきますが、夜中はあまりいかなくなるといったものです。
また、細胞分裂も関与しており、皮膚再生なども関係していると考えられています。

親時計は「光」の刺激が関わっていましたが、子時計は「食事(血糖値)」の刺激で調整されています。
炭水化物(糖質)を摂ると、血液中のぶどう糖濃度が高まり血糖値が上昇します。
すると血糖値を下げようと膵臓からインスリンが分泌されますが、インスリンの分泌が子時計のリセットに関わっていると考えられています。
血糖値上昇が上昇しインスリンが分泌されると中性脂肪生成の原因になるため、ダイエット中の人にとっては大敵です。
しかし、子時計をタイマーリセットし睡眠リズムを改善していくためには大切な要素となります。
ただし、この場合も、炭水化物だけを摂るのではなく、タンパク質も一緒に摂ることが望ましいとされています。
朝食を摂ることで、全身の臓器にある子時計がリセットされて新しいリズムを刻み始めます。

体内時計の種類
親時計・・・視交叉上核
    「光」で親時計リセット
子時計・・・体内の臓器、細胞など
    「食事(血糖値)」で子時計リセット

体内時計のリセット

体内時計の調整は、親時計に注目されることが多いですが、親時計と子時計のリズムがバラバラになってしまうと、体内で時差が生じて、体調不良や、仕事の集中力が落ちたり、睡眠障害など引き起す原因となっていくことが分かっています。
睡眠リズムを改善し健全な生活をおくれるようにするためには、親時計だけでなく子時計の体内時計もリセットしていく習慣づけが必要となっていきます。
では、親と子時計をリセットしていく方法について紹介していきます。

朝起きたらすること

①朝日を浴びる
まず、よく言われているのが朝起きたら親時計の体内時計をリセットするために朝日を浴びる事です。

②朝食を摂る
子時計のリセットには朝食を摂って、代謝に関わる臓器をリセットしていくことが必要です。
朝食を抜いたり、起床してから朝食までの時間が長くなったりすると、親時計と子時計にずれが生じて、体内時計が乱れてしまいます。
目安として、起床後1時間以内にとりましょう。
糖質制限ダイエットとは異なり、炭水化物(糖質)を摂る必要があります。
また、タンパク質はインスリンとよく似た構造のホルモンIGFというホルモンを分泌し、インスリンと同じように体内時計をリセットする効果をもっていると考えられているため、タンパク質もとると効果が高まります。

③体を動かす、洗顔、歯磨きをする
運動、洗顔、歯磨きといった体を動かすことで筋肉、肺など臓器の子時計が活性化され子時計タイマーがリセットされていきます。

夕方~夜

①明るい光は避ける(ブルーライトなど)
夜暗くなるとセロトニンが減少し、睡眠を誘うメラトニンが分泌されます。
夜遅い時間帯まで明るい光のある環境は、メラトニン分泌を抑制させてしまい、その結果体内時計を後ろにずらして、眠りにつく時刻を遅くしてしまう恐れがあります。
特に、スマホ、パソコン、テレビなどは覚醒作用の強いブルーライトが発生しているため、夜は避けるか、ブルーライトを軽減する工夫をしましょう。
また、部屋の灯りも白色灯よりも、ピンクや暖色系の蛍光灯にするとメラトニンが分泌されやすくなります。

②夕食は朝食まで10時間以上空ける

翌朝の朝食時までに十分な絶食時間をとることで、朝食時にインスリン感受性が高まり、体内時計をリセットしやすくなります。
そのため、翌朝の朝食を摂る時間が10時間以上空くようにしておきたいところです。
(例えば、翌朝7時に朝食を摂る場合は、夕方21時までに摂ると言った感じです。)

③就寝時間はメラトニン分泌の最大ピークのときに
メラトニンの分泌は、起床時からおよそ14時間後に始まり、その2時間後に最大に達するとされています。
例えば午前7時に起床した場合、メラトニンの分泌量は午後11時頃に最大に達します。この時に眠り始めるとスムーズに入眠できます。

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