EPAとDHAの違い
EPA,DHAはともに、α-リノレン酸から作られ、鰯、鯖など青魚など脂ののった魚に豊富に含まれているため、よく似ているように思われますが、作用の仕方や効果は全く異なります。
その違いについてみてみましょう。
EPAとDHAの歴史と違い
EPAの効果が明らかになり始めたのは1960年代後半。
グリーンランドに住むイヌイットの心臓病で亡くなる人の割合が低いことに注目した研究が始まりです。
EPAは血液の性状を健康に保ったり、血栓をできにくくする結果、血液の流れをよくし動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞を予防する働きがあることが確認されていきます。
EPAに「血液のサラサラ効果」があると言った謳い文句があるのは、そういった背景からきているようです。
DHAは1989年、英国で「日本の子供の知能指数が高いのは魚食(DHA)の影響ではないか?」という研究内容や、脳や網膜などの神経系に豊富に含まれている栄養素であることが話題のきっかけとなります。
DHAは魚に含まれることから、「魚を食べると頭がよくなる」といったフレーズが有名になります。
EPAは摂取すると血中濃度に取り込まれ増加し、摂取をやめると減少するといった変動しやすい面をもっていますが、DHAの場合は増減が起こりにくいことがわかっています。
また、DHAは長い間ヒトでの試験はEPAも含まれた魚油で行われ続けたために、DHAの研究結果として発表されたものがEPAのいわゆる血液サラサラ作用と混同されたイメージをもたれるようにもなりました。
DHAについてヒトについて明確にわかっていることは、ヒトの脳組織にとても豊富に存在する脂質であるということです。
また、ω3系脂肪酸のなかで血液脳関門を通過できるのはDHAのみであり、またその作用機序の一つとして、細胞膜リン脂質にDHAが取り込まれた細胞の膜流動性が高まり、神経細胞の活性化や神経伝達物質の伝達性が向上すると推定されています。
EPA
・脳血液関門を通過できない。
・血中に取り込みやすく血栓を抑制し、血流をよくする。
・中性脂肪値を下げ、動脈硬化、心筋梗塞を防ぐ
DHA
・脳血液関門を通過し脳組織に多く存在する。
・脳細胞の膜流動性が高まり、脳神経細胞の活性化、神経伝達物質の向上し、脳の働きがよくなる。