MCTとは
MCTは「Medium Chain Triglyceraids」の略称で、日本語だと「中鎖脂肪酸トリグリセリド」という意味になります。
中性脂肪のグリセロールに付随する、3本の脂肪酸がすべて中鎖脂肪酸になったものをいいます。
MCTオイルは、肥満の原因とされてきた長鎖脂肪酸を取り除き、中鎖脂肪酸のみを抽出したオイルのことをいい、長年医療現場で利用されてきたものですが、それがダイエット、健康食品として商品化されてきています。
吸収、燃焼効率のよい飽和脂肪酸として短鎖脂肪酸もありますが、多く含まれる食品がほとんどありません。一方、中鎖脂肪酸はココナッツに比較的多く含まれることからココナッツオイルから抽出したMCT商品が販売されています。
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MCTオイルの成分
中鎖脂肪酸を含む食品は、小鎖脂肪酸同様に食品の中でもレアな存在。
最も多く含まれているのがココナッツ、パーム核油から摂れる全体油脂量の14%程度です。
牛乳、乳製品にも含まれていますが3~5%程度しか含まれておらず、日常の食事からはなかなか摂取することが難しい脂肪分です。
そのため、MCTオイルの主成分はココナッツ、パーム核(パーム油とは別物です)から抽出されるものがほとんどです。
中鎖脂肪酸は、炭素数が「C8(カプリル酸)、C9(ペラルゴン酸)、C10(カプリン酸)、C12(ラウリン酸)」が存在します。
MCTオイルは、このうちのC8(カプリル酸)・C10(カプリン酸)で構成されたオイルをいいます。
一方、ココナッツオイルにはC8(カプリル酸)、C10(カプリン酸)のほかに、C12(ラウリン酸)や長鎖脂肪酸などの成分が含まれています。
ほとんどがC12(ラウリン酸)、長鎖脂肪酸で、C8(カプリル酸)、C10(カプリン酸)はほとんど含まれていません。
MCTオイルはココナッツオイルから抽出されているとはいえ、ココナッツオイルとは全くの別物で効果も異なってきます。
C8(カプリル酸)、C10(カプリン酸)は一般的に、抗菌作用やダイエットやエネルギー補給に役立つ「ケトン体」の生成を活発にする働きがあります。
C12(ラウリン酸)は、母乳にも含まれる成分で、抗酸化作用や免疫力向上の作用、美容効果などがあるといわれています。
MCTオイル
主成分:C8(カプリル酸)、C10(カプリン酸)
短時間でたくさんのケトン体を生成したい人、例えばダイエッターや、持久力アップを目的に摂取するアスリート向けのオイル。
ココナッツオイル
主成分:C12(ラウリン酸)、長鎖脂肪酸
美容やゆるやかなケトン体生成を目的とする人向けのオイル。
MCTの特徴
MCTの特徴
・消費効率が高い
10時間でほぼ消費
・ケトン体生成能力が高い
長鎖脂肪酸の10倍
・エネルギー消費手順を変換
ぶどう糖⇒脂肪(ケトン体)から脂肪(ケトン身体)⇒ぶどう糖に
消費効率が高い ~抜群の吸収力と分解性~
中鎖脂肪酸(MCT)は小鎖脂肪酸同様、そのサイズが小さいため長鎖脂肪酸よりも吸収性が高いのであっというまに分解されてしまうという特質があります。
長鎖脂肪酸(動物性由来の一般的な油脂)は、腸に消化されるまでには、胆汁と混合した上でリンパ管を通って血液の中を通し体内を巡回している状態が続くのに対し、中鎖脂肪酸(MCT)の場合は腸に到達すると、門脈から肝臓まで直行しエネルギーとしてすぐに消費されていきます。
口から摂取してから3時間後にほとんどが分解のピークに到達し、10時間後には体内には残っていません。
一方で長鎖脂肪酸は、積極的に消費されるという特性がないので、そのまま脂肪として残りやすくなります。
ケトン体生成能力が高い ~長鎖脂肪酸の10倍の生成能力~
ケトン体とは肝臓で生成されるエネルギー物質の総称のことで、アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸といった化学物質をまとめて指します。
エネルギーとして最初に消費される物質はぶどう糖(グルコース)です。
ぶどう糖が減少しエネルギーが不足したときに脂肪が分解されてケトン体が生成され、第二の代替エネルギーとしてぶどう糖と同様の働きをします。
特にアルツハイマー認知症者は脳におけるぶどう糖が少ない傾向があり、それが認知症進行の原因とも考えられていますが、ケトン体を増やすことで認知症抑性効果が得られたという報告もでています。
その能力は、中鎖脂肪酸(MCT)は長鎖脂肪酸の10倍あると言われています。
エネルギー消費順番を変換 ~脂肪燃焼効果が高い理由!~
通常の食事をした時(長鎖脂肪酸の食事)、まず炭水化物(糖質)がぶどう糖(グルコース)となり、ぶどう糖が主力のエネルギー源となります。
ぶどう糖が消費された後、エネルギーを補うため脂肪が消費されケトン体が利用されるといったプロセスが一般的な流れです。
MCTを摂取するとこの流れが逆になり、先に脂肪が消費された後、ぶどう糖が消費されるといった流れに変わります。
MCTがダイエットに向いている理由
MCTオイルを利用すると、ダイエット効率が高まるといわれていますが、これもMCTのもつ特徴によるものです。
その理由について説明します。
普通の食事をすると、肉に含まれている動物性油は、長鎖脂肪酸が大半を占めています。
食べものが消化されると、炭水化物がぶどう糖になりエネルギーとして最初に使用されていきます。
ぶどう糖が減少し少なくなってから、脂肪が分解されケトン体が第二のエネルギーとして利用されていきます。
長鎖脂肪酸は、積極的に消化されようとはしないので、体内を巡回し残りやすいため、脂肪として蓄積されていく原因となっていきます。
つまり通常の食事では、ぶどう糖が消費されないと脂肪が減らないということになるので、糖質制限をしてぶどう糖の生成を抑制する食事をする。断食、激しい運動をするなどしてぶどう糖を減らさないと、なかなかダイエット効果がでないことになります。
MCTオイルを利用した食事をすると、流れが大きく変わります。
最初に消化されたMCTが肝臓で即効でエネルギーに変えられ、ぶどう糖よりも先に消費されていきます。
次に、MCTは脂肪を分解してケトン体を生成していき、ケトン体がエネルギーとして消費されます。
最後に炭水化物で生成れたぶどう糖が消費されていくことになります。
つまり、ぶどう糖の消費が後回しになっていくことで、脂肪が優先的に分解されていくためMCLオイルを利用した食事はダイエットとしても高い効果が期待できるというわけです。
また、それだけではありません。
生成されたぶどう糖はケトン体が消費された後に消費されていくため、1食当たりのエネルギー持続効果もその分持続性が高まるので、空腹感を抑え食事量を抑えることができ減量をやりやすくしてくれます。
また、マラソンなど長時間エネルギーを消費する運動をする場合にも適しています。
MCT(中鎖脂肪酸)により得られる効果
ダイエット効果 ~すばやくエネルギーに分解され、体脂肪を生み出さない~
MCTで最も期待されるのがダイエット効果です。
脂肪燃焼効果が高く、食欲も抑えてくれるのでダイエットに適しています。
また、肥満気味の人に中鎖脂肪酸を11%程度含む食用油を含む食事を続けてもらうことで体重と体脂肪、皮下脂肪、内臓脂肪が減少したという実験結果もあるようです。
ただし、ぶどう糖が多くなるとその効果も弱まるため、なるべく炭水化物(糖質)制限をしてぶどう糖の生成を抑える必要もあります。
また、肥満を抑えてくれるので、生活習慣病予防対策にもなります。
記憶力低下抑性、認知症予防 ~ケトン体生成効果による~
脳のエネルギー源はブドウ糖です。
高齢になるほどぶどう糖が上手く利用できなくなる傾向がありますが、アルツハイマー認知症となると顕著になってきます。
ぶどう糖の代替エネルギーとして利用されるのが「ケトン体」です。
MCTは長鎖脂肪酸と比較してケトン体生成能力が高いため、軽度から中程度の認知症でMCTの投与が症状を改善したという報告もあり、今後の治療への応用が期待されています。
てんかん、自閉症に対する効果
てんかんも、ぶどう糖の減少と関係があることが指摘されており、ケトン食が有効と考えられています。また、MCTオイルとケトン食は自閉症に効果があるとする研究もあり、より詳細な研究が期待されています。
運動前に効果的 ~乳酸の蓄積減少効果、エネルギー持続効果~
MCTオイルは疲労の原因となる乳酸の蓄積を減らす効果があることが分かっています。
また、1食あたりEMC+ケトン体+ぶどう糖のエネルギーが得られるため、長時間運動する際に利用するのも有効です。
MCTオイルの危険性
MCTオイルの副作用と危険性には次のような症状が現れます。
1.下痢、胃のむかつき、腹痛(腸が弱い人)
2.アレルギー反応(低純度MCTオイル使用の場合)
3.ケトアシドーシス(嘔吐、めまい、眠気)
(一型糖尿病患者、血糖値が高い方)
MCLオイルに限らず、オイル(油、脂肪)を直接多量に摂取すると胃が不快となったり下痢を起こしてしまいます。
胃腸の弱い人には合わない場合も多いようなので、そういった場合は量を調整することも必要になってきます。
また、MCTオイルは純度も様々で、不純物成分と中鎖脂肪酸によるアレルギー反応が、副作用として危惧されるので、なるべく高純度のものを選択するといいでしょう。
最も注意しないといけないのが、血中にケトン体が急増した結果、エネルギーとして使用されずにケトン体が蓄積することで引き起される「ケトアシドーシス」という症状です。
体内が高血糖の状態になり、意識障害等を引き起こします。
同時に肝臓が糖を排出しようと瞬間的に尿量も増え、結果的に脱水症状も引き起こされ高血糖も悪化してしまうケースもあるようです。
健常者の人には、「ケトアシドーシス」はみられないようですが、血糖値が高い人、特に1型糖尿病患者は発症するリスクが高いようです。
また、健常者でも過度の糖質制限と中鎖脂肪酸の過剰摂取はケトアシドーシスを引き起す可能性もあるので、過度にならないよう管理することが大切です。
MCTオイルの利用方法と目安量
・加熱すると煙がでてくるので、サラダなど加熱しない料理に使用する。
・1日当たりの摂取量は約30ml(小さじ2杯強)
・味、風味はほとんどありません。
・酸化されにくいため、常温保管しても劣化しにくい。
MCTオイルは、150度以上で炒めると煙がでるため炒めもの、加熱する料理にはあいません。
そのため、サラダ、ピザなど調理済み料理にかけて食べる方法が推奨されています。
特に、アメリカでダイエットで大流行したバターコーヒーにMCLを入れて飲む人も多いようです。
(このとき使用するバターは、飽和脂肪酸のないグラスフェッドバター(まはたギーオイル)を利用します。)
人によっては下痢を起こしたり、お腹が痛くなったりしやすいので、初心者の方は、小さじ一杯からはじめてみるといいでしょう。
MCTオイルを利用するとお腹が痛くなったというレビューが多くみられますが、このオイルは胃に優しく飲みやすいタイプのようです。
初心者の方はこちらからはじめてみるといいのではないでしょうか。
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お腹が痛くなったという声もありますが、すぐエネルギーになるのを実感する、ダイエット効果を感じるといった声も多くみられます。
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