炭水化物②糖質がエネルギーになるまでの流れ

栄養基礎

はじめに

本記事では、炭水化物の糖類についてと、体内でのエネルギーになるまでの流れについてまとめています。

前回の記事

糖の分子状態

炭水化物の単糖類は、単分子のぶどう糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースといったものがあります。
果糖はフルーツ類に多く含まれ、ガラクトースは乳製品に多く含まれます。

二糖類以上の炭水化物は、これらの単糖類の組み合わせで構成されています。
例えば、麦芽糖(マルトース)は、グルコースが2つ結合、ショ糖(スクロール)はグルコースとフルクトースの結合、乳頭(ラクトース)はグルコースとガラクトースが結合したものです。
多糖類のでんぷんは、すべてグルコースが繋がったものになります。

単糖類

炭素原子は連鎖状に配列し、最も外側の一つがアルデヒド基となった構造をした、甘味をもつ無色結晶です。
日常的に最も身近な単糖がぶどう糖(D-グルコース C6H12O6)です。

ぶどう糖(D-グルコース)

ぶどう糖は穀物、果物に多く含まれる代表的な糖です。血液中に一定割合(約0.1%)に含まれるエネルギーを産出することに主要な働きをします。重要な働きをする一方、過剰摂取は脂肪肝、糖尿病、肥満の原因にもなります。
米、パン、麺類、ぶどう、バナナ、ごぼう、いも

果糖(フルクトース)

果物やはちみつに多く含まれ、最も小さな単糖です。そのため、吸収がはやくすばやくエネルギーとなるため激しいスポーツ時に摂ると疲労回復を早めてくれます。血糖値をあげませんが、小腸で吸収後は肝臓で分解されエネルギーとなり、一部は中性脂肪となるため、過剰に摂ると肥満になりやすい糖でもあります。
ぶどう、バナナ、さくらんぼ、なし、りんご、すいか 他

ガラクトース

単独では存在せず、ニ糖類や多糖類の一部として存在します。肝臓でぶどう糖に変換され、エネルギーとなります。また、乳汁に含まれる成分で、乳児の成長を促進する働きがあります。
乳製品や甜菜、ガム、および粘液

少糖類(二糖類、オリゴ糖)

単糖の分子が2~10個結びついたものです。
2つ結びついたものを二糖類、3(あるいは2)~10個のものをオリゴ糖といいます。

麦芽糖(マルトース)

大麦を発芽させ、湯を加えることでデンプンが糖化されたものに多く含まれることから麦芽糖と言われています。ぶどう糖が二つ結合したもので、甘味は砂糖より落ちますが旨みが強いのが特徴です。消化されるとぶどう糖となり、血糖値をあげエネルギーとなります。ビール作りに欠かせない糖です。
麦芽、さつまいも、水飴

ショ糖(スクロース)

砂糖の主成分で、サトウキビ、テンサイなどから生成されるぶどう糖と果糖の化合物です。白砂糖は精製された分蜜糖で、黒砂糖などは含蜜糖と呼ばれ、糖蜜をふくんでいるため色が濃く甘みも強くなっています。エネルギー以外の栄養素がなく、脂肪になりやすいものとされ、摂りすぎに注意が必要です。
テンサイ、さとうきび、砂糖

乳糖(ラクトース)

ぶどう糖とガラクトースが結合したもので、乳児に不可欠の栄養成分です。小腸でラクターゼという消化酵素で単糖に分解されてから吸収されます。ラクターゼ活性は成長すると低下することがあり、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人はこのタイプで、乳糖不耐症といわれます。
牛乳、ヨーグルト、チーズ、母乳

多糖類

単糖がオリゴ糖以上に結合したものです。
でんぷん、グリコーゲン、デキストリンがあり、植物、生物の中で貯蔵用として存在する場合はこの形態をとります。

でんぷん

デンプン(スターチ)は、多数のぶどう糖が結合した植物性多糖類です。デンプンには直鎖状分子のアミロースと、枝分かれ状のアミノペクチンが存在します。アミノペクチンは水を加え加熱すると粘り気を生じます。体内では分解されてぶどう糖となります。
穀類、いも、豆類

グリコーゲン

多数のぶどう糖が結合した動物性のデンプン多糖類です。体内に溜め込まれ、肝臓と筋肉で合成され貯蔵されます。ただし、脂肪ほどエネルギーの貯蔵には向かず、一時的な血糖過剰に対応しています。
貝類、エビ、レバー

デキストリン

コーンスターチや馬鈴薯でんぷんを原料とし、でんぷんを化学的あるいは酵素的な方法により低分子化したものです。

合成甘味料、糖アルコール

糖質には、キシリトール、マルチトール、エリスリトールといった「糖アルコール」、アスセルファムK(カリウム)、スクラロースなどの「合成甘味料」も含まれます。
糖類ゼロ」「ノンシュガー」と表示されているダイエット食品は、単糖類と二糖類が基準値以下(食物100g/飲料100mlあたりの糖類が0.5g未満)という意味であり、全く含まれていないという意味ではありません。
甘味を感じるものには、糖類以外の糖質(糖アルコールや合成甘味料)が含まれている可能性が高く、逆に肥りやすくなる危険性が高くなるとも言われています。

糖類の状態変化(単糖⇔多糖類)

食物に多く含まれるでんぷんは、ぶどう糖が繋がった多糖類で鎖状となっており、体内ではサイズが大きすぎて消化できないため、唾液、膵液などで結合が一つ一つ分解されていき、二糖の麦芽糖(マルトース)を経て最後には単糖のぶどう糖となります。
ぶどう糖は血液中に流れることで血糖値が上昇し、細胞内に入った後はミトコンドリア内でATP(アデノシン三リン酸)を産出し、このATPが体内エネルギーとなります。(ぶどう糖1個から、38個のATPが生成されます。)
また、植物の場合は、光合成によってぶどう糖が結合して植物性多糖類のデンプンが貯蔵用エネルギーとして蓄えられますが、人間や動物の場合は使わないぶどう糖はインスリンなどの働きによって動物性多糖類のグリコーゲンとして体内に貯蔵されます。

糖質がエネルギーになるまでの体内メカニズム

糖質は血糖値をあげる唯一の栄養素で、最も即効性の高いエネルギー源となります。
1グラムにつき4キロカロリーのエネルギーに相当します。
毎日食べるご飯、パンや小麦(うどん、パスタなど)はデンプンが主成分で、体内で分解されるとぶどう糖(D-グルコース)を生じます。
このぶどう糖は代謝の中心的存在で、大部分の生命体はぶどう糖を生命エネルギーとしています。
ここでは、食品に含まれるデンプンが、体内でどのようにしてぶどう糖となり、エネルギーとなっていくのかについてみていきます。

デンプンからぶどう糖(グルコース)に分解

ご飯の中には多糖類のデンプンが含まれていますが、口の中にはいると唾液のアミラーゼという酵素によって二糖類の麦芽糖に分解されます。さらに、膵液の中にもアミラーゼが含まれており、ここで麦芽糖になりきれなかったものも麦芽糖に分解されます。
麦芽糖が小腸にたどり着くと、小腸から出ている消化酵素マルターゼによってぶどう糖(グルコース)に分解され、毛細血管に吸収されて肝臓へ送られ、血液に乗って全身の細胞へ輸送されます。

ぶどう糖(グルコース)のエネルギー変換

ぶどう糖は、細胞質内に入ると、「解凍系」によってピルビン酸と2つのATPを生成します。
ピルビン酸は酸素の助けをかりてミトコンドリアのマトリクスに入っていき、クエン酸回路、電子伝達系を働かせて2つのATPを生成、ミトコンドリアの内膜(クリステ)で34個ものATPを産出します。(1ぶどう糖から系38ATP)
これが即戦力エネルギーとして利用されます。
無酸素運動状態で酸素が欠乏した状態であると、ピルビン酸はミトコンドリア内に入っていけず代りに乳酸となり疲労の原因となります。

ぶどう糖は血糖値をあげますが、しだいに膵臓からインスリンが分泌されて一部のぶどう糖をグリコーゲンに変換し、血糖値を減少させます。
生成したグリコーゲンは肝臓、全身の筋肉内に貯蔵されます。
断食などによって血糖値が低下すると、グリコーゲンを分解してぶどう糖に変えて再度エネルギー生成のために利用されます。
筋肉に含まれるグリコーゲンを筋グリコーゲンといい、全身の筋肉に存在し、その貯蔵量は肝臓の2倍の量(全体の8割)に相当します。
12~18時間絶食すると肝臓のグリコーゲンが枯渇しますが、筋肉のグリコーゲンは運動時のみに使用されます。
グリコーゲンの貯蔵量は筋肉量に比例するともいわれ、筋肉を増やすことで持久力がアップします。

また、過剰に摂りすぎたぶどう糖は中性脂肪に変えられ、脂肪細胞として体内に貯蔵され、肥満の大きな原因となります。
かつては、脂質が肥満の原因と考えられていましたが、脂質は体内に吸収されにくく、現在はこの余ったぶどう糖が肥満の原因と考えられるようになり、ダイエットには糖質制限が重要という認識が広まっています。
果物に含まれる果糖(フルクトース)は中性脂肪を増やす効果が高いので、生活習慣病において摂取制限が指導されることがあります。

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