トラウマ、感情と関わる神経伝達物質 ~興奮作用を鎮め不安を軽減するGABA(ギャバ・γ-アミノ酪酸)~

神経伝達物質

GABA(ギャバ・γ-アミノ酪酸)とは

GABA(ギャバ)は正式名称を
「γ(ガンマ)-アミノ酪酸Gamma-Amino Buryric)」
というアミノ酸の一種で、特に哺乳動物の脳や脊髄に存在します。

1950年、哺乳動物の脳からGABA(ギャバ)が初めて抽出され、この抽出成功をきっかけに、多くの研究がなされるようになり、GABA(ギャバ)が神経中枢で働く抑制系(興奮状態を鎮めリラックス状態にする)の代表的な神経伝達物質であることがわかりました。

睡眠薬、抗不安薬は、睡眠障害、全般性不安障害などでよく処方される薬で、主にベンゾジアゼピン系の薬が利用されGABA(ギャバ)の作用に関係しています。

神経伝達物質GABA(ギャバ・γ-アミノ酪酸)のもたらす効果


ストレスや運動によって脳はノルアドレナリンやアドレナリンを分泌し、興奮状態を高めます。
GABAはノルアドレナリン、アドレナリンの分泌を抑制し、高まった興奮状態を鎮め、「リラックス状態」へと導く作用があります。
また、脳内の血流を促進、酸素供給量を増やし、脳細胞の代謝機能を高め、睡眠を促し、イライラや不安を改善する働きをもっています。
GABA(ギャバ)が過剰になっても副作用は確認されていないようですが、逆に、不足するとノルアドレナリンの分泌が増加するため、イライラしたり体調不良の原因となってしまい、不眠や不安が強くなります。

GABA(ギャバ・γ-アミノ酪酸)の出来方 ~~

GABA(ギャバ)は脳のほぼ全域に存在し、特に海馬、大脳基底核、小脳、大脳皮質に多く存在します。
L-グルタミン(グルタミン)とナイアシンによって合成されできたグルタミン酸に、ビタミンB6が酵素作用として働いて生成されます。
グルタミンは、筋肉の分解抑性、消化機能のサポートなどの働きをもつ、体内に一番多く存在する「非必須アミノ酸」です。
ナイアシンによってできたグルタミン酸は、興奮性作用をもち、記憶・学習といった高次機能に重要な役割を果たします。
グルタミン酸、GABA(ギャバ)ともに神経伝達物質ですが、お互い、それぞれ興奮性と抑制性と相反する性質と異なった作用をもっています。

GABA(ギャバ・γ-アミノ酪酸)と精神障害の関係 ~不眠症、不安障害など~

精神疾患の症状でよく知られるモノアミン(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン)以外によく登場するのがGABA(ギャバ)ではないでしょうか。
薬の中でもよく処方されている睡眠薬、抗不安薬はベンゾジアゼピン系薬物(BZD)が主に使用されていますが、これらの薬はGABA神経系に作用することでGABA(ギャバ)の働きを強めてノルアドレナリンの分泌を抑制し、心の不安、緊張を和らげています。
また、アルコールも同じようにGABA(ギャバ)神経に作用しています。

ノルアドレナリンの分泌が過剰になり交感神経が高まった状態の精神疾患として、不眠症、全般性不安障害(GAD)、社交不安障害(SAD)、パニック障害、非定型うつ病があげられますが、これらの症状に対してベンゾジアゼピン系薬が処方されています。

ただし、睡眠薬、抗不安薬は、一時的な対症療法であって、ベンゾジアゼピン系は長期で服用するとベンゾジアゼピン系の副作用が突如としてでてくることがあるので注意が必要です。
一度薬に慣れてしまうと、断薬が非常に困難になるので一生苦しむことになる可能性があります。

全国ベンゾジアゼピン薬害連絡協議会
ベンゾジアゼピンによる副作用の被害について対応及び被害を問う

神経伝達物質以外としてのGABA

GABA(ギャバ)はよくサプリでも販売されていますが、血液脳関門を通過しない物質であるため、体外からGABA(ギャバ)を摂取しても直接、脳内で神経伝達物質として働くことはありません。
そのため、口から摂取しても効果がないとも言われています。
ただし、血圧を下げる効果があるため、それによってリラックス効果が得られるようです。
つまり、
・脳内で分泌されるGABA(グルタミン酸からつくられ神経伝達物質としてのGABA)
・外から摂取するGABA(サプリ、GABAを含んだ食べもの)

とは作用の仕方は異なりますが、類似した効果があるようです。

外から摂取するGABAの働きは次のような効果があります。

・GABAを摂取すると、リラックスを示すα波が増加し、副交感神経が優位になりリラックスする。
・睡眠を促す効果
・腎臓の働きを高め、血圧の上昇の原因となる塩分(ナトリウム)を排出する効果があり、高血圧に対してのみ血圧降下作用を発揮するということがわかっています。
・動脈硬化を引き起こすコレステロールと、中性脂肪の増加を抑制してくれるため、動脈硬化、糖尿病の予防。

GABA(ギャバ・γ-アミノ酪酸)を増やす方法

脳内のGABAを増やすには、睡眠薬、抗不安薬を処方されることが多いですが、安全なものとして取り扱われているのは日本だけです。
なるべく、向精神薬以外のもので増やすことが良いでしょう。

脳内のGABA分泌を促す

VB6(ビタミンB6)を摂取

脳内でGABAの生成を促すには、グルタミン酸の酵素反応を促進させることです。
酵素反応にはビタミンB6が必要ですので、ビタミンB6が不足しないように栄養を摂る必要があります。
ビタミンB6は食品から摂る以外にも腸内細菌からもつくられるので、欠乏することはほとんどありませんが、妊娠中、ピルの服用を続けるとビタミンB6の消費が増加するため不足がちになります。
また、腸内細菌のバランスが崩れることでビタミンB6を合成する働きが低下し欠乏することがあります。
ビタミンB6が不足すると、GABAが作られず、その結果としてイライラ、情緒不安定、不眠が引き起こされます。
そういったときには、ビタミンB6を多く含むカツオ、マグロを食べたり、サプリメントでの補給をしましょう。

外から摂取してGABAを増やす

GABAが多く含まれる食品として、発芽玄米、漬物、しょうゆ、味噌、キムチ、なす、かぼちゃがあります。
特に発芽玄米は、白米の5倍以上含まれているだけでなく、脳の神経細胞を増やすBDNF生成の栄養素も多く含まれているのでお勧めです。

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