トラウマ、感情と関わる神経伝達物質 ~眠りの質を高め、美肌、統合失調症に関わるグリシン~

神経伝達物質

グリシンとは

グリシンは1820年にゼラチンから発見され、甘味をもつことから当初はゼラチン糖と呼ばれていました。
ほのかな甘みと、菌を抑える静菌作用の性質を生かし、調味料、保存料としてコンビニ弁当など加工食品によく用いられています。
グリシンは私達の体内にも広く存在し、一日に数十グラムも体内で作られる非必須アミノ酸で、さまざまな働きを担っています。
特に、皮膚などを構成するコラーゲンの約1/3を構成する体内で合成される非必須アミノ酸の一つです。
アミノ酸の中では最も小さい単純な分子構造をもち、体内の中ではセリン、スレオニンといった物質から合成されます。
脊椎や脳幹に多く存在し、中枢神経ではGABAに次いで抑制系神経伝達物質として重要な地位を占めます。
また、体内ではDNA、RNAなどの核酸の合成や、血液中のヘモグロビン、筋肉の収縮のために必要となるクレアチンの原料として使用されます。

グリシンのもたらす効果

グリシンは体内のタンパク質形成だけでなく、中枢神経では神経伝達物質の一つとしても働き、運動や感覚、呼吸といった身体機能にも関わっています。

体内において

美肌効果

グリシンは、皮膚のタンパク質コラーゲンを構成するアミノ酸のうち約1/3を占めています。
コラーゲンは肌と骨間接の中に存在するため、肌の状態や間接の働きに影響します。
肌の弾力を支える皮膚の真皮層の大部分をグリシンが占めているため、肌のはり、弾力を保つためには必要な成分です。
角質層の肌のうるおいを保持する天然保湿成分(NMF)は、グリシンをはじめとしたアミノ酸が40%を占めているため美肌にも影響します。

睡眠改善

私たちは入眠する際に、体の内部の温度である深部体温を下げることによって、心地よい眠りにつくことができます。
グリシンは血管を拡張させることで体内の放熱を促し、体内の温度をさげて自然な睡眠へと導く作用があります。
さらに、体内時計に作用して生体リズムを整える作用もあるので、その点からも不眠の解消には有効といえるでしょう。
特に質のよい眠りを示すノンレム睡眠時間の増加と、徐波睡眠に早く到達することを示すことから、睡眠の質を高め、翌朝の疲労感、眠気を減らし作業効率を高める効果があります。

その他(アンチエイジング、高血圧、脳卒中予防)

抗酸化作用があることから、生活習慣病、老化の原因となる活性酸素の生成を抑制しアンチエイジング効果としても有効な成分となります。
また、コレステロール値を下げてくれるため、高血圧、脳卒中予防としても働きます。

脳内の神経伝達物質として

グリシンは、中枢神経(脳内)においてはGABAに次ぐ抑性系神経伝達物質として働いています。
大脳皮質の上位部ではGABAが、脊髄、脳幹といった下位部ではグリシンが抑制系を担っています。
一方で、興奮性神経伝達物質としての役割も知られています。
また、脳内のドーパミン、ノルアドレナリンを調整するセロトニンの分泌を促し、うつ症状を改善することも報告されています。

  脳内(中枢神経) 体内(末梢神経)
適度な分泌量 ・GABAとともに抑制系神経伝達物質として働く
・セロトニン分泌を促し抑うつ症状改善
・美肌効果、間接痛予防
・抗酸化作用で老化防止
・コレステロール値下げ高血圧、脳卒中予防
・湿疹や皮膚炎、口内炎の改善
・睡眠の質がよくなる
・セロトニン分泌を促す
過剰   ・呼吸筋麻痺(日常的には起こらない)
不足 ・統合失調症の陰正反応 ・不眠症
・コラーゲンが減少し肌荒れ、弾力低下、関節痛に。

グリシンと精神障害の関係 ~統合失調症の陰性反応と相関~

統合失調症の原因は、ドーパミン過剰とする「ドーパミン仮説」、グルタミン酸過剰とする「グルタミン酸仮説」が考えられています。
古くからあるドーパミン仮説では陽性反応(幻聴、幻覚)が説明できませんでしたが、グルタミン酸仮説では陽性と陰性(意欲低下、感情平坦化、うつ病に類似)共に説明できるものとして近年注目されています。
統合失調の陰性反応のとき、グリシンの血中濃度が健常者より低下していることが指摘されています。
統合失調のグルタミン仮説では、NMDA型グルタミン酸受容体の低下が考えられていますが、NMDA受容体にはグリシンサイトが存在しており、グリシン濃度の低下が陰性反応を引き起しているのではないかという報告もあります。
また、セロトニン分泌を促すためうつ病患者にも効果がみられたという報告もあるようです。

グリシンを増やす方法 ~美肌 質のよい睡眠をとる~

グリシンを多く摂ることは、美肌や睡眠の質を改善することに繋がります。
特に、肌荒れで弾力もなくなった、あるいは眠りが浅くよい睡眠がとれない、体内時計を整え睡眠リズムを調整したいという方はグリシンを多く含む食品やサプリを摂ってみるのもいいでしょう。
※ただし、口から摂取してもグリシンは脳関門を通過しないため、脳へ浸透し神経伝達物質としての作用はほとんどありません。

食品からグリシンを摂る

グリシンは、天然の食品類の中に広く含まれ、応用範囲が広いため、様々な調味料として漬物類、お菓子、珍味等に利用されています。
中でも、エビ、ホタテ、イカ、蟹、カジキマグロ、牛スジなどの魚介類、類鶏軟骨、豚足に多く含まれています。
エビやホタテなど魚介類の甘味はグリシン由来の甘味です。

サプリメント

サプリメントでは睡眠サポート用グリシンが販売されています。
心地よい眠りをサポートする3大成分が「グリシン」、「テアニン」、「GABA」です。
これらの成分+さらにトリプトファンが配合されたお得タイプです。

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