トラウマ、感情と関わる神経伝達物質 ~意欲、覚醒状態を高めるノルアドレナリン~

神経伝達物質

はじめに

ノルアドレナリンは、交感神経を高めストレスに対抗するための神経伝達物質としてよく知られています。
ストレスに反応して、怒り、不安、恐怖などの感情を起こすことから「怒りのホルモン」、「ストレスホルモン」とも呼ばれます。
一方で、適度な分泌が行われている状態では、意欲的で向上心が高まり、人間性を向上させる原動力ともなります。
ドーパミンからつくられ、セロトニンとともに精神状態に関わる神経伝達物質で、精神障害とも深い結びつきがあります。

ノルアドレナリンのもたらす効果

ノルアドレナリンは適度な分泌量であると「性格形成ホルモン」と呼ばれるように意欲的、向上心にあふれ好ましいリーダータイプにもなり得ますが、反面で過剰、不足すると精神状態に乱れを生じます。

適度なノルアドレナリン分泌量

・物事の判断力に優れ、ストレスへの耐性が強くなる
・危機に立ち向かう率先した行動が取れ、リーダーシップも発揮しやすい。

不足したノルアドレナリン分泌量

ノルアドレナリンが不足すると、
・仕事や学習の効率低下、注意力が散漫になる
・外部からの刺激に鈍くなり、意欲や判断力が低下
・無気力、無関心
といわゆるうつ状態の症状が現れます。

過剰なノルアドレナリン分泌量

ノルアドレナリンが過剰になると
・イライラしたり、怒りっぽくなる
・キレたり攻撃的になる
といった情緒不安定な状態になります。

ノルアドレナリンの出来方 ~タンパク質構成アミノ酸からつくられる~

ノルアドレナリンの原点は、ドーパミンと同様フェニルアラニン、チロシンといった必須アミノ酸が酵素反応によって生成されます。
ノルアドレナリンの前駆体がドーパミンで、ノルアドレナリンがさらにメチル化されてアドレナリンへと変化します。
ノルアドレナリンの生成もドーパミン同様、外からの栄養分の摂取が必要ということになります。

ノルアドレナリンの作られる場所 

ストレスがかかると、脳幹にある「青斑核」といった神経核の活動によりドーパミンがノルアドレナリンに変換され、ノルアドレナリン経路を通して脳全体へと伝わっていきます。
アドレナリンはノルアドレナリンから副腎髄質でつくられ、血中に分泌されて体内を伝わります。
ノルアドレナリン、アドレナリンとも興奮性作用により交感神経を高め、血管を収縮、心拍数を上昇して「逃走、闘争」防衛反応によりストレスに対抗していきます。
神経を興奮させて「意欲」を高める反面、「不安、恐怖、緊張」を引き起し、怒り、イライラといった精神の不安定性にも影響するため「怒りのホルモン」とも呼ばれます。

ノルアドレナリンと精神障害の関係~解離性障害、うつ病、パニック、不安障害~

ノルアドレナリンが適度に分泌されている場合は、意欲的でストレス耐性に強くなりますが、過剰あるいは不足状態は精神疾患へと結びついていきます。
従来のうつ病(定型タイプ 背側迷走神経優位)は、麻痺・固まり」の防衛反応が起こりノルアドレナリンの分泌が抑性された状態で、気力、意欲、物事への関心の低下、過眠、解離性障害に結びつきます。
抗うつ薬(SNRI,NaSSA)は、セロトニンだけではなく、ノルアドレナリンの分泌も促す薬です。

軽度の非定型うつ病タイプ(交感神経優位)、不安障害(SAD)は、闘争・逃走」の防衛反応が起こりノルアドレナリンが高まった状態で不安、緊張が強く、イライラしたりキレやすくなる、あるいは躁状態、PTSD,、不眠へと結びつきます。
血圧が上昇するため、高血圧症や糖尿病の原因になるとも言われています。
この症状の緩和には、ノルアドレナリンを抑制する抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)が処方されます。

青斑核は、生命上の危険を察知するとノルアドレナリンを放出し、視床下部へとその危険信号を送ります。
その情報をキャッチした視床下部は、心臓、血管、汗腺などに反応を伝えます。
パニック発作は危険もないのに、これらの神経系統が誤動作を起こして起るものと考えられています。

ノルアドレナリンのコントロール

意欲が湧かないとき(ノルアドレナリンが低下状態)

本来のうつ病(定型うつ病)は、ノルアドレナリンが低下した鎮静化状態です。
副交感神経(背側迷走神経)が優位に働いた状態で、交感神経が抑制され意欲が湧いてこず、無気力で闘争意欲も湧いてきません。
交感神経は自意識の強さとも関わっており、この場合は交感神経をある程度高めていくほうが好ましい状態になります。
つまり、興奮状態をある程度高めていくと効果的です。
その手段として「運動をする」、「対戦ゲームをする」、「スリリングな体験をする」といったことが挙げられます。
食事も、チロシンの多く含まれている食べ物(タンパク質)を積極的に摂ったり、コーヒーを飲むことも効果的です。

不安が強いとき(ノルアドレナリンが高まった状態)

不安が強いときは、闘争あるいは逃走状態でノルアドレナリンが高まった過覚醒状態です。
この場合は、社交友好モードに関わる副交感神経(腹側迷走神経)を高めてリラックス状態を高めていくことが大切です。
その方法として、瞑想、催眠療法、ヨガ、リラックスする音楽を聴くことがあります。
しかし、イライラや不安が強すぎて瞑想やヨガなどで集中できない場合は、逆に激しい運動をしてストレスを発散させた後に行うと効果的です。
また、ノルアドレナリンを鎮静化させるGABAの多く含まれている玄米食や大豆を積極的にとっていくこともいいでしょう。

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